【読書感想】悪役令嬢後宮物語
最初、コミック版をなにげなーく読んだのです。
……なんじゃ、こりゃ。意味がわからん。
私にとっては導入部分をすっとばし過ぎた、イキナリな展開だったのです。
この前に、重要なファクターがある筈。
そう思った私は小説に手を出したのでした。
面白い。
声を大にして言いたい、面白いっっ
ヒロインの家系がそろいもそろって悪役顔。
なんじゃ、そりゃ。
美形なのに、悪役顔のせいでどうひっくり返っても、悪いことやってるだろという一族。
なのに、伝統もある大貴族なのですよ。
代々、悪いことをして繁栄してきただろうと思われている。
なのに、正義の鉄槌が降りない不思議な一族。
本人も「男を色仕掛けで迷わす。滅びの道をたどる人間を冷たく見下ろす女」的に思われていまして。
彼女が政治的バランスの為、後宮に放り込まれて側室たちの為に粉骨砕身する、というお話。
ヒロインが悪役と思われるのを諦めちゃって、甘受して、利用しているんですね。
(そうなるまでに、柔らかい心は幾度傷ついたのだろうと思うのですが。後述、探求心と自由でいたい気持ちから、後継者たる長男以外は貴族籍を離れる一族だらけ、と述べられていますが。そんな心の傷も影響しているのかもしれません)
で、後宮の主たる王が、ほんと馬鹿!
ことごとくディアナ(悪役令嬢)に酷いことを言う。責任を丸投げする、足を引っ張る。
作中でも、色々な人に「あんた、バカなの?」と言われていますが、彼がなにかやらかすたび、「OH……」と頭を抱えた読者様は多いんじゃなかろうか。
愚かというか、人間らしいというか……。
その前に「31番目のお妃様」を読んでマクロン様、かっけー!と思ってたので、ジューク王のあまりに王というよりは人間くささに呆れかえりまして。
……ここまで、キャラが立ってるのもすごいなと思いました。
内容は一貫して、ジューク王の初恋の相手である、格下側室が王妃となるまでの、悪役令嬢ディアナの奮闘ぶりを描いているのですが8巻もあるのに飽きさせない。
最後までたちはだかるラスボスが、あっぱれなほどの悪役っぷり。
デスラー総統もそうですし、シャア大佐もそうですが、自分の信じるものを貫き通す人って、悪役でも恰好いい。
またね、ディアナの身も心も守ろうとする隠密がカッコいいんですよー!
本来は、「悪役令嬢が誤解して嫌われていた王と、誤解が解けてハッピーエンド」が近道だと思うんですが。
彼女の恋人は、なにも持っていない。
ただ、彼女を愛する心だけ持った男。
それが、暗殺やらの裏家業を生業としているのに、騎士みたいにカッコいいんですよ。
一族の、薄らと最初から語られている、王家とのつながり。
割と、ヒロインの実家が王家と懇意で、国にとって大事な一族、という位置づけの小説はあると思うのですが……。
二千年も続く、そのつながりを、王から求めてくるのを待っていたディアナ。
(恋愛、ではなく友情で)
胸熱です。
王や側室。そして彼女自身の恋愛。
とりまく人達のそれぞれの愛。
なんてものも織り交ぜられていまして、後宮=政治であるということがとても読みやすく、かつ描かれていると思います。
舞台化されたと後で知るのですが、むべなるかな。
【評価:☆5個が満点】
絵が綺麗:☆☆☆☆☆
面白さ:☆☆☆☆☆
ワクワク:☆☆☆☆☆
構成:☆☆☆☆(長い分、色々な目線があるのは仕方ない)
キャラ:☆☆☆☆☆
原作は大人買いしちゃいましたよ!:☆☆☆☆☆
自信をもっておすすめ:☆☆☆☆☆
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